BASEで自宅住所を出したくない人のためのガイド|GMOオフィスサポート vs NAWABARI比較

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はじめに:創作者・同人活動における「住所公開」の悩み

同人誌や一次創作グッズなどをオンライン販売する際、多くの方が「BASE」や「BOOTH」などのサービスを利用しています。しかし、個人名義でショップを開設すると、特定商取引法に基づいて「販売者の住所・氏名」をサイト上に掲載する義務が生じます。この点が、特に創作活動を個人で行う方にとって大きな心理的ハードルになることがあります。

「自宅住所を公開したくない」「本名を知られたくない」と感じるのは自然なことです。特にSNSやイベント経由で販売活動を行う場合、販売者と購入者の距離が近く、プライバシーが気になる場面も少なくありません。こうした背景から、最近では“匿名運営”や“住所非公開”をキーワードに、より安全に販売を続ける方法を探す人が増えています。

この記事では、「特商法を順守しつつ、創作活動の匿名性を守る」という観点から、BASEで住所を公開しないための実践的な手段を整理します。さらに後半では、GMOオフィスサポートやNAWABARIといったバーチャルオフィス(事業用住所を貸与してくれるサービス)の比較も行い、どのように運用すれば安全で信頼性のあるショップを構築できるかを解説します。

筆者自身も一次創作のオンライン販売を行っており、匿名性と法令遵守のバランスには何度も悩まされました。その経験を踏まえ、現行法に基づく範囲で実践可能な「リスクを減らす方法」を中心に紹介していきます。

BASEで「住所/連絡先を非公開設定」できる範囲と注意点

まず、BASEでショップを開設する際に気になるのが「住所や電話番号をどこまで非公開にできるのか」という点です。結論から言えば、完全な非公開はできません。特定商取引法の規定により、購入者が求めれば、販売者の氏名・住所・電話番号を開示する義務があるためです。

個人運営限定の設定可能項目

BASEの管理画面では、「特定商取引法に基づく表記」ページにて住所・電話番号を入力する必要があります。ただし、電話番号については「公開しない」を選び、メールアドレスを代わりに記載することができます。また、住所は「購入者からの請求時に開示する」設定を選択可能です。これにより、ページ上には直接表示されず、求めがあった場合のみ通知される仕組みになります。

この設定だけでも一定のプライバシー保護になりますが、「開示義務」が残ることは覚えておきましょう。自宅住所を完全に伏せたい場合は、後述するバーチャルオフィスの住所を利用する方法が現実的です。

法律(特定商取引法)との関係とリスク

特定商取引法では、通信販売を行う事業者が「販売価格や送料、事業者の氏名・住所・連絡先」などを明示することが義務づけられています。これは購入者保護のために設けられているもので、個人・法人を問わず対象になります。したがって、たとえ趣味であっても、販売を継続的に行う場合は事業者とみなされるケースがあります。

もし虚偽の住所を掲載した場合、消費者庁から指導・改善命令が出る可能性があり、信頼性にも関わります。そのため、「住所を隠す」よりも「安全に公開できる住所を確保する」という発想が重要になります。

特定商取引法に基づく表記の書き方(テンプレートあり)をまとめた記事もよかったら読んでみてください。

匿名配送との併用でできること・できないこと

匿名配送(例:ヤマト運輸の「匿名配送」やBOOTHの「あんしんパック」など)を併用することで、購入者に自宅住所が伝わらないようにすることは可能です。ただし、これはあくまで発送時のやり取りを匿名化するものであり、「販売者情報の表示義務」とは別問題です。

そのため、匿名配送は購入者との物理的な住所共有を防ぐための補助策として活用し、法令上の住所表示についてはバーチャルオフィスを併用するのが最も安全です。

バーチャルオフィス活用のススメ:住所を“表示可能”にしつつ自宅を守る

「特商法に基づく表記」で住所を完全に隠すことはできませんが、自宅住所をそのまま出す必要もありません。ここで頼りになるのがバーチャルオフィス(仮想オフィス)です。これは、事業用の住所を貸し出すサービスで、郵便物の転送や法人登記の代行なども提供しています。

なぜバーチャルオフィスが“住所出したくない人”に選ばれるか

バーチャルオフィスの最大のメリットは、「実在する住所を利用しながら、自宅住所を非公開にできる」ことです。たとえば東京都内のビル住所をBASEの特商法欄に記載すれば、見た目にも信頼感が増し、購入者からの不信感を避けられます。郵便物はオフィス側で受け取り、登録住所に転送してくれるため、個人でも十分運用可能です。

また、クリエイターや同人作家にとっては「本名・自宅を知られずに販売活動を続けられる」ことが大きな安心材料になります。SNSやイベント経由で広く活動している人ほど、プライバシーのリスクを減らす効果が大きいといえるでしょう。

住所表示と郵便転送・登記の関係

注意したいのは、すべてのバーチャルオフィスが同じ条件ではないことです。主な違いは次の3点にあります。

  • 住所利用可否:BASEなどECサイトへの住所掲載を許可しているか
  • 郵便転送:個人宛の郵便を転送してもらえるか、頻度はどれくらいか
  • 登記可否:法人登記(会社設立)や屋号登録に利用できるか

個人クリエイターの場合、登記までは不要なことが多いですが、郵便転送があると取引先や運営会社からの通知にも対応できて便利です。サービスを選ぶ際は「特商法表記に利用可能」と明示されているかどうかを必ず確認しましょう。

実際、BASEでも「バーチャルオフィス住所の利用は禁止」とはされていません。ただし、実態のない住所や架空オフィスを使うことは規約違反になる可能性があります。公式のサポートページや契約書をよく読み、合法的に利用できるサービスを選びましょう。

比較:GMOオフィスサポート vs NAWABARI

バーチャルオフィスといっても多くの事業者があります。その中でも、BASEやBOOTHなどクリエイター系販売者によく使われているのがGMOオフィスサポートNAWABARIです。どちらも「特商法対策」や「個人事業主向けプラン」を用意していますが、料金体系やサポート内容には違いがあります。

料金・契約期間・拠点数など基本スペック比較

項目GMOオフィスサポートNAWABARI
月額料金(税込)660円〜(ライトプラン)990円〜(個人プラン)
初期費用無料無料
契約期間1ヶ月〜(自動更新)1ヶ月〜(解約自由)
拠点数全国主要都市 7拠点東京都内中心 3拠点
郵便転送あり(月1〜週1)あり(月1)

どちらも初期費用がかからず、個人でも始めやすい価格帯です。GMOは全国対応・法人登記も可能なのに対し、NAWABARIは個人事業主や同人活動向けに特化しており、問い合わせ応対が柔らかいという声もあります。

登記・郵便転送・信頼性などサービス詳細比較

信頼性の面では、GMOオフィスサポートが大手GMOインターネットグループの運営という点で安心感があります。一方、NAWABARIはクリエイター・個人事業主に寄り添ったサポート体制が特徴です。実際に契約者の口コミでは「特商法に詳しく、相談しやすい」といった意見も見られます。

郵便転送の頻度や手数料も比較ポイントです。頻繁に取引書類を受け取る予定があるなら週1転送のGMOが便利ですが、少量・低頻度で十分な場合はNAWABARIでコストを抑えるのが賢い選択です。

創作者/同人運営者視点で“どちらがおすすめ?”

結論として、以下のように使い分けるのが現実的です。

  • GMOオフィスサポート:将来的に屋号登録や法人化を検討している人向け。信頼性重視。
  • NAWABARI:一次創作・同人活動中心で、気軽に住所非公開を実現したい人向け。

どちらを選ぶ場合も、契約前に「BASEなどネットショップで住所掲載可能か」を明示的に確認することをおすすめします。バーチャルオフィスの住所を正しく使うことで、匿名性と信頼性を両立したショップ運営が可能になります。

実践手順:BASE+バーチャルオフィスで住所を守るためのチェックリスト

ここからは、実際に「BASE × バーチャルオフィス」で住所を安全に運用するためのステップを整理します。設定を誤ると、せっかくの匿名対策が不十分になることもあるため、順番に確認していきましょう。

BASEショップ設定で非公開にする手順

まずはBASEの管理画面で「特定商取引法に基づく表記」設定を確認します。次のように進めましょう。

  1. BASE管理画面の左メニューから「ショップ設定」→「特定商取引法に基づく表記」を開く。
  2. 「販売業者」「所在地」「電話番号」などの項目を入力。
  3. 電話番号は「非公開」を選び、メールアドレスを連絡先として設定。
  4. 住所欄には契約したバーチャルオフィスの住所を入力。
  5. ページ下部で「購入者から請求があった場合に開示する」設定をオンにする。

これで特商法ページ上に自宅住所が直接表示されることはなくなります。入力内容を保存したら、実際のショップ画面で表示確認をしておきましょう。

バーチャルオフィス契約前に確認すべき項目

次に、バーチャルオフィスを契約する前に必ずチェックすべき点をまとめます。

  • 特商法掲載OK:「ネットショップやECサイトでの住所掲載が可能」と明記されているか。
  • 郵便転送頻度:転送日・回数・送料を確認。重要通知を逃さないように。
  • 本人確認:身分証アップロードや住所確認が必要かを事前に把握。
  • 契約期間と解約条件:月単位で解約できるか、最低契約期間はあるか。
  • トラブル対応:万が一、購入者からの問い合わせが来たときの対応方針。

特に「特商法表記で利用OK」かどうかは、あとから変更できない場合が多いので要注意です。契約前に公式サイトや利用規約を確認しましょう。

運営中に気を付けたいポイント(取引・発送・法令)

匿名運営を続ける中でも、販売者としての責任を果たす姿勢は大切です。たとえば、注文への対応や返品・キャンセルの案内を誠実に行うことで、住所を伏せていても信頼を維持できます。また、発送時は匿名配送を利用し、配送伝票に自宅住所が載らないようにしましょう。

法令やBASEの規約は定期的に更新されるため、最新情報は公式サイトで確認することをおすすめします。特商法の改正や匿名配送の仕様変更に対応することで、リスクを最小限に抑えたショップ運営が可能になります。

よくある質問(FAQ)

自宅住所がバレたらどうなる?/対応策は?

誤って自宅住所を公開してしまった場合、まずはすぐに「特商法ページ」を修正し、バーチャルオフィスなどの安全な住所に差し替えましょう。すでに検索結果などにキャッシュされている場合は、検索エンジンの削除申請フォームを使う方法もあります。SNSなどでの拡散は削除依頼を出すか、必要に応じて相談窓口(消費生活センターなど)を利用してください。

法人運営の場合はどう変わる?

法人であっても特商法に基づく表示義務は変わりませんが、会社名・登記住所を公開するのが基本です。法人登記住所としてバーチャルオフィスを利用する場合は、登記可のプランを選ぶ必要があります。GMOオフィスサポートのように登記対応が明記されているサービスなら問題なく利用可能です。

匿名配送を使う際の注意点は?

匿名配送は購入者との住所共有を防ぐ便利な機能ですが、BASEでは標準機能としては提供されていません。代替として、「匿名配送対応の外部サービス」を連携させる方法があります。ヤマト運輸・日本郵便の匿名配送サービスを使えば、送り主欄に自宅住所を記載せず発送できます。ただし、匿名配送だけでは特商法上の住所表示を省略できない点に注意してください。

まとめ:安心して創作活動をネットショップで展開するために

BASEでの販売活動では、特商法の遵守とプライバシー保護の両立が求められます。完全な匿名化は難しいものの、バーチャルオフィスを活用することで、自宅住所を出さずに安全な運営を実現できます。

GMOオフィスサポートは信頼性と全国対応力、NAWABARIは柔軟性とクリエイター向けサポートが魅力です。自身の活動規模や目的に合わせて選び、BASEの設定を丁寧に整えることで、リスクを抑えた販売が可能になります。

創作活動を継続するうえで、プライバシーと安心は欠かせません。「自宅住所を出さずに、正しく販売する」という選択は、今の時代に即したスマートな運営方法です。小さな備えが、長く安心して作品を届ける力になります。

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この記事を書いた人

システム開発やWeb制作をして15年以上。
このブログでは、これから起業したい人や小さくビジネスを始めたい人に役立つ情報を発信しています。
Stripeを使った販売方法や、ノーコードでサブスクを作るコツなど、
「やってみたい」を形にするためのヒントをお届けしています。

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