Stripe Invoice完全ガイド|手動・自動請求の基本と設定方法

目次

Stripe Invoiceとは何か

Stripe Invoice(請求書)は、Stripeが提供するオンライン決済向けの「請求書発行機能」です。クレジットカードだけでなく、銀行振込やACHなど事業向けの決済方法にも対応でき、従来の紙・PDFベースの請求処理をオンラインで完結できます。とくに中小規模の事業では、バックオフィスの負担を軽減しやすい点が大きな利点です。

Stripeでは「Invoice=請求書」「Payment=支払い」という概念が明確に分かれています。Invoiceはあくまで「顧客へ請求内容を提示する書類」であり、支払い完了を管理するのは別のレイヤーです。この仕組みを理解しておくと、後の自動請求フローで混乱を防ぎやすくなります。

また、Stripe Invoiceには二つの使い方があります。ひとつは必要なときだけ作成する「手動請求」。もうひとつは定期課金(Subscription)に紐づけて自動で発行される「自動請求」です。どちらもInvoiceを使いますが、運用スタイルや作業量が大きく異なります。

請求書機能の基本

Stripe Invoiceの基本は以下の3点に集約できます。

  • 顧客(Customer)を指定する
  • 請求アイテム(商品・サービス)と金額を登録する
  • 請求書を発行し、メール送信で共有する

これらはすべて管理画面上で完結でき、PDF形式の出力にも対応しています。税率の設定や支払い期限の指定など、日本の実務に必要な項目も柔軟に扱えるため、専門知識がなくても短時間で請求書を作成できます。

手動請求と自動請求の役割の違い

Stripe Invoiceは手動・自動どちらでも利用できますが、役割は明確に異なります。手動請求は「単発の案件・スポット業務」など、毎回請求内容が変わるケースに向いています。一方、自動請求は「毎月の定期課金・顧問契約」など、一定サイクルで決済が発生するビジネスに向いています。

実務上のポイントとして、手動請求は人手のチェックが必要ですが柔軟性が高く、逆に自動請求は手間が少ない一方で契約内容の設定ミスがあると誤請求につながるリスクがあります。どちらを使うかは、ビジネスモデルと作業負荷のバランスで判断すると運用が安定します。

Stripe Invoiceの全体フロー

Stripe Invoiceは「手動で作成するフロー」と「Subscriptionに紐づいて自動で生成されるフロー」の2種類があります。どちらもInvoiceという同じ仕組みを使いますが、処理のトリガーや設定ポイントが異なるため、最初に全体像を把握しておくと運用トラブルを減らせます。

手動請求は管理画面から必要なタイミングで作成し、その場で顧客へ送信します。単発案件・イレギュラー対応など、決まった周期がない場合に便利です。一方、自動請求は「Subscription(定期課金)」が請求の起点となり、契約開始日・請求サイクルに応じてInvoiceが自動生成されます。

自動請求では、設定さえ正しく行えば請求書の生成から顧客へのメール送信まで自動化できますが、初期設定のミスがあると請求が遅れたり二重請求が発生する可能性があります。そのため、実務では「まず手動でフローを理解し、慣れてから自動化する」方が安全です。

手動請求フロー

手動請求は、次のようなシンプルな流れで進みます。

  1. 顧客(Customer)を作成する
  2. 請求アイテム(Invoice Item)を追加する
  3. Invoiceを作成して内容を確認する
  4. Open(発行)にし、メール送信する
  5. 顧客が支払い完了 → Paidになる

Draft(下書き)の段階では何度でも修正できるため、実務では必ず内容チェックを挟むことが推奨されます。また、金額や税率の入力ミスを防ぐため、最初にアイテムテンプレートを用意しておくと効率的です。

自動請求フロー(Subscription連動)

自動請求はSubscriptionを起点にして動作します。Subscription開始と同時に初回Invoiceが生成され、以後は設定した請求サイクル(月次・年次など)に従って自動で請求書が作成されます。

フローの基本は次のとおりです。

  1. プロダクト・価格(Price)を作成する
  2. 顧客を登録する
  3. 顧客にSubscriptionを紐づける
  4. 請求サイクルに基づいて自動でInvoice生成
  5. 顧客へメール送付 → 支払い完了でPaid

このフローは一度構築すると人手がほぼ不要になりますが、請求ミスを避けるため「初回請求金額」「開始日」「Trial期間」の3点だけは慎重に設定することを強くおすすめします。

手動Invoiceの作成方法

手動でのInvoice作成は、スポット案件・追加作業・単発サポートなど「毎回内容が異なる」請求に向いています。Stripeの管理画面から直感的に操作でき、下書き(Draft)段階で内容を調整できるので、実務での使い勝手が非常に良い方法です。ここでは、顧客の登録から請求書の発行までの流れを順番に整理していきます。

まず前提として、手動Invoiceは「顧客(Customer)」が存在しないと作成できません。顧客情報は請求書の宛先になるだけでなく、メール通知や履歴管理にも関わるため、最初に必ず登録しておきます。また、金額や品目は「Invoice Item」として追加していきます。これはいわば“請求明細の1行”にあたり、複数行の追加も可能です。

手動Invoiceは、内容を自由に変更したり、一度「Open(発行)」した後でもキャンセルして「Void(無効化)」できる柔軟性があります。作業者の確認プロセスをしっかり挟みたい企業や、ミスを避けたい実務担当者に向いている運用方法です。

顧客(Customer)の登録

Stripeでは、請求書を作る前に顧客(Customer)を登録する必要があります。管理画面の「Customers」から名前・メールアドレス、必要であれば請求先住所などを入力します。これらの情報は請求書にそのまま反映されるため、できれば初回登録時に整えておくと後の作業がスムーズです。

実務上よくある悩みとして、「請求書の送り先と担当者のメールアドレスが違う」というケースがあります。この場合、Customerに複数メールアドレスを登録したり、送信時に宛先を編集することで対応できます。Stripeは柔軟に運用できるため、従来の紙・PDF請求より負担が軽くなりやすい点がメリットです。

アイテム作成・金額入力

顧客登録が済んだら、次にInvoiceに明細を追加します。Stripeでは「Invoice Item」という単位で、品目名・金額・数量・税率を入力します。税率は事前にTax Ratesで作成しておくと、毎回選択するだけで適用できるため便利です。

日本の実務では「作業費・追加費用・交通費・オプション料金」など複数行を登録することが一般的です。Stripeは行数に制限がなく、ドラッグで並び替えも可能です。金額ミスを防ぐコツとして、同じ内容の請求が繰り返される場合は「商品名のテンプレート」を作っておくと作成時間が短縮できます。

請求書の発行と送信

Invoice Itemを追加し終えたら、Invoiceを確認して「発行(Open)」します。Openにしたタイミングで顧客へメール送信でき、支払い用のリンクも自動で付与されます。Stripeの支払いページはスマホ対応しているため、顧客側の負担も比較的少なく済みます。

なお、誤って内容を間違えた場合は「Void(無効化)」や「Credit Note(返金用メモ)」で調整できます。ただし、会計処理との連動がある場合は、社内ルールに沿って対応しましょう。Stripe側でのステータス変更は簡単ですが、経理ルールの整合性も大切です。

自動Invoiceの設定方法

自動Invoiceは、定期課金(Subscription)と連動して毎月または毎年の請求を自動化するための仕組みです。手動請求と違い、一度セットアップすれば「あとはStripeが自動で請求書を発行 → 顧客にメール送付 → 支払い完了まで」進めてくれます。事務作業を大きく減らせるため、中長期的に継続課金の顧客がいる事業に向いています。

ただし、設定を誤ると「思わぬ金額で請求される」「開始日がずれて二重請求になる」などのトラブルにつながるため、最初は慎重に進めることが重要です。とくに、Price(料金)とBilling cycle(請求サイクル)の設定を正しく理解することが鍵になります。

プロダクト・価格の作成

自動請求では、まずプロダクト(Product)と価格(Price)を作成します。Productはサービスの名称、Priceは金額と請求サイクル(例:月額・年額)を表します。この2つはセットで扱われ、Subscriptionに紐づく基盤になります。

Stripeでは複数のPriceを1つのProductに紐づけられるため、「月額プラン」と「年額プラン」などを1つの商品にまとめることが可能です。これにより、プラン切り替えが楽になり、顧客側の混乱も防げます。実務では、最初にProductを整理しておくことで後からの運用が非常に楽になります。

Subscriptionと自動請求の紐付け

Priceが作成できたら、顧客に対してSubscriptionを作成します。Subscriptionは「この顧客が、どのプランに、いつから加入するか」を決める設定です。加入と同時に初回Invoiceが生成され、その後は期間ごとに自動で請求されます。

設定時の注意点として、開始日(Start date)とTrial期間を正しく設定することがあります。作業のずれがあると初回請求が即時発行されたり、課金タイミングが合わなくなるため、契約開始日の管理は慎重に行いましょう。Stripeは日時設定が柔軟なので、実務に合わせて調整可能です。

自動請求時のメール送信設定

Subscriptionによる自動請求では、請求書メールや支払い完了通知が自動配信されます。管理画面の「Email settings」から通知内容をオン・オフでき、送信タイミングも細かく調整できます。顧客がメールを受け取れない場合の問い合わせはよくあるため、事前に通知設定を確認しておくことをおすすめします。

また、法人顧客では「経理担当と実務担当が別」など宛先の複数化が必要な場合があります。Stripeでは複数メールアドレスの登録や、追加連絡先の設定が可能なため、運用に合わせて柔軟に対応できます。

Invoiceの管理とステータス

StripeのInvoiceは、発行後の状態によって複数のステータスが管理されています。ステータスを正しく理解しておくことで、「請求がどこまで進んでいるのか」「修正すべきか」などの判断がしやすくなります。とくに実務担当者にとっては、支払い済みかどうかの確認や、誤発行時の対応をスムーズに進めるために重要な知識です。

Stripeのステータスは大きく「Draft」「Open」「Paid」「Void」の4つに分類されます。Draftは下書き、Openは顧客に請求を出した状態、Paidは支払い済み、Voidはキャンセル済みです。これらは会計管理にも直結するため、発行のタイミングや修正の扱いは慎重に行う必要があります。

また、Stripeではステータスに応じて画面の色や表示が変わるため、一覧画面でも進捗を視覚的に把握しやすい設計になっています。実務量が多い担当者にとって、大量の請求を管理する際に役立つポイントとなるでしょう。

Draft / Open / Paid / Void の違い

Invoiceの主なステータスの意味は以下のとおりです。

ステータス 説明 よくある利用シーン
Draft 下書き状態。内容の修正が自由にできる。 社内確認中、金額調整、ミスチェックなど
Open 顧客に発行済み。メール送信が可能。 請求書を送る直前・直後の状態
Paid 顧客による支払いが完了。 決済済みの記録、会計連携
Void 無効化された請求書。支払い不可。 誤請求時、内容の全面修正

実務では、まだ顧客に送らない段階は必ずDraftに留めておくことで、誤送信を防ぎやすくなります。また、誤ってOpenにしてしまった場合でも、Voidで無効化できるため、柔軟な運用が可能です。ただし、Voidした履歴は残るため、会計処理と突合する際には注意が必要です。

一般的なトラブルと対処法

Stripe Invoiceの運用では、以下のようなトラブルが発生することがあります。

  • 顧客がメールを受け取れていない
  • 誤った金額・日付で発行してしまった
  • 自動請求が意図しないタイミングで行われた
  • 銀行振込の入金確認が遅れる

メール不達の場合、顧客メールの迷惑フォルダに入るケースが多いため、まずは宛先や通知設定を確認しましょう。金額の誤りは、Open後であればVoidにし、新しいInvoiceを発行するのが安全です。また、自動請求のズレはSubscriptionの開始日やTrial設定を見直すことで解決できるケースがほとんどです。

Stripeは履歴管理がしっかりしているため、どのタイミングで何が起きたのか追跡しやすい仕組みになっています。トラブルが起きた際は焦らず、ステータスの遷移とログを確認しながら対応するのが良いでしょう。

実務で押さえる運用ポイント

Stripe Invoiceを安定的に運用するには、日常業務でのチェックや設定方法を理解しておくことが不可欠です。請求書の発行は顧客との信頼関係にも関わるため、正確性とスピードの両立が求められます。ここでは、実務担当者が押さえておきたい項目を整理し、より効率的にStripeを使いこなすコツを紹介します。

特に中小企業では「人手が限られている」「担当者が多くの業務を兼務している」ことが多く、請求の抜け漏れが発生しやすい傾向にあります。Stripeの自動化機能を上手に利用することで、手間を減らしつつミスを最小限に抑えることが可能です。自社の業務フローとStripeの仕組みを照らし合わせながら、適切に活用していきましょう。

請求漏れを防ぐチェック項目

請求漏れを防ぐためのポイントは以下のとおりです。

  • 毎月のInvoice一覧を確認し、Draftのままになっていないかチェック
  • Subscriptionの開始日・更新日を定期的に確認する
  • 料金変更がある場合はPriceを新規作成し、旧Price放置による誤請求を防ぐ
  • 顧客メールの不達アラートを確認する

実務では、月初・月末のどちらかで定期チェックを行うと請求漏れリスクが大幅に減ります。StripeのDashboardはフィルタ機能が充実しているため、未払いやDraftだけを抽出して確認するなど、運用に合わせた使い分けが可能です。

税率・振込手数料の扱い

日本で事業を行う場合、消費税の設定は必須です。Stripeでは「Tax Rates」で税率を事前に登録しておくことで、Invoice作成時に簡単に追加できます。また、振込手数料をどちらが負担するかなど、取引先ごとに異なるルールがある場合は、Invoice Itemとして行を追加することで柔軟に対応できます。

税率変更がある年には、古い税率のInvoiceが混ざらないように注意が必要です。Stripe側では複数税率の管理ができますが、誤って旧税率を選択してしまうトラブルが起きやすいため、年初にルールを明確にしておくと安全です。

会計システムとの連携Tips

Stripe Invoiceは、freeeやマネーフォワードなどの会計システムと連携できます。売上計上を自動化できるため、経理の負担が大幅に軽減されます。ただし、会計側の仕様変更や税制の見直しなどが起きる場合があるため、「最新の連携仕様」は定期的に確認しておくことをおすすめします。

連携時には、Invoiceのステータスや支払い方法(カード・銀行振込)によって会計処理が変わるケースがあります。自社の会計ルールと照らし合わせながら、必要に応じて仕訳設定を見直すことで、より正確な運用につながります。

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この記事を書いた人

システム開発やWeb制作をして15年以上。
このブログでは、これから起業したい人や小さくビジネスを始めたい人に役立つ情報を発信しています。
Stripeを使った販売方法や、ノーコードでサブスクを作るコツなど、
「やってみたい」を形にするためのヒントをお届けしています。

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