商品をオンラインで販売する全体像
商品をネットで販売したいけど、どういった手順で進めたらいいのか分からないという人のために本記事では、ドメイン取得 → サイト構築 → 法的準備 → 決済 → 運用という、実務的な流れをそのままロードマップとしてまとめました。
かたちのある商品(アクセサリーなどの制作物など)から、かたちの無い商品(オンライン講座・デジタル教材・コミュニティなど)商品でも手順は概ね同じです。
有形・無形商品のどちらについても触れていきますので、内容が行ったり来たりしますが、お付き合い頂ければ幸いです。
最初に全体像を理解しておくことで、無駄な作業を避けながら、スムーズに立ち上げを進められます。
また、決済はStripeを使うケースが増えており、初心者でもノーコードで導入できます。
もしサブスクを実装する際は、StripeのProductとPrice設計が重要になるため、必要に応じて関連記事にも触れながら進めていきます。
この記事を読みながら、あなた自身が「今どの段階にいるか」「次に何をすべきか」を整理し、順番どおりに進めてみてください。きっと立ち上げの迷いが減り、前に進むスピードが上がるはずです。
商品アイデアを形にする
いわゆるゼロイチの作業です。 かたちのある商品については割愛しますが、無形商品の場合、まず取り組むべきは 商品そのものの設計 です。
モノが存在しないため、価値が曖昧だと売れづらくなります。逆に「どんな課題を、どんな方法で解決するのか」が明確であれば、小さくても売れるプロダクトになります。
私は有形商品を売ったことがないので、どうしても内容が無形寄りになってしまって申し訳ないですが、
有形商品を扱うショップでも、将来的にサブスク商品を展開するのもありです。
たとえばフラワーショップなら毎月お花が届くサブスクや、コーヒー豆ショップなら毎月自動でおすすめコーヒーが届くサブスクなどです。
サブスク展開は色々な業種で行えるのでじっくり考えてみると結構みつかると思います。
話しがそれましたが、とりあえず、商品が決まったという前提で、次のステップに進みましょう。
ドメインを取得する
商品がある程度形になったら、次はネット上の「住所」ともいえるドメインを取得します。
ドメインとは「○○○.com」というやつです。 このサイトでいうと「tech-guide.biz」です。
これは、あなたのサービスをオンライン上で運営するための基盤です。ドメインは後から変更しづらいため、最初にしっかり検討しておくと、ブランド形成にも役立ちます。
ドメイン名の決め方
基本は 短く・覚えやすい ものが適しています。
サービス名や事業名にあわせて取得するのがおすすめです。
例)service-name.com
例)yourbrand.jp
数字を多用したり、長すぎるドメインは避けるとよいでしょう。
どの TLD(.com / .jp など)を選ぶべきか
代表的な選択肢は次のとおりです。
- .com:もっとも一般的。信頼性も高い
- .jp:日本向けサービスに相性が良い
- .net / .info:空きが多く確保しやすいが、やや汎用性は低い
迷ったら .com または .jp で問題ありません。
ちなみに「.ne.jp」「.co.jp」は企業向けになります。
取得手順(初心者向け)
- お名前.com(https://www.onamae.com/) やムームードメイン(https://muumuu-domain.com/)などのレジストラ(ドメインを管理する事業者)にアクセス
- 希望のドメインを検索
- 空いていればそのまま購入
- 後でサーバーと紐づけて利用開始
ドメインは年間契約のため、ランニングコストも把握しておきましょう(おおよそ 1,000〜2,500 円/年)。
ただしTLDによって変動がありますので、その辺も気を付けてください。
レンタルサーバーを契約する
ドメインを取得したら、次は「家」にあたるレンタルサーバーです。ここに WordPress や商品ページを設置し、顧客が訪れるサイトを公開します。
選ぶべきサーバーの基準
実務上、次の3つを満たしていれば十分です。
- 表示速度が安定している
- WordPress が簡単に設置できる
- サポートが丁寧で初心者に優しい
これらの条件に関してはほぼどこのレンタルサーバーでもクリアしています。 あとはお高いプラン程、表示速度が速くサポートも充実している感じです。
レンタルサーバー事業者は、さくらインターネット、エックスサーバー、ヘテムル、ロリポップ、ConoHa WINGなど沢山ありますが、おすすめはさくらインターネットです。
運用年数も長く、国が省庁や自治体向けに整備する「ガバメントクラウド(ガバクラ)」の提供事業者となっているので信頼できます。
WordPress を使う場合に注意したいポイント
WordPressとはサイト(ホームページ)を作るのを手助けしてくれるツールで、サーバーにインストールして利用します。
自由度が高いため、あらゆるサイトで利用されています。 このブログもWordPressを利用しています。
ただし、導入時のミスがトラブルにつながることもあるため、以下は必ず確認しましょう。
- SSL(http→https)の設定
- 自動バックアップの有無
- テーマの選定(重すぎないもの)
- 最低限のセキュリティ対策プラグイン
WordPress を使わない場合でも、LP(販売ページ)だけを置きたいなら、極端に高性能なサーバーは必要ありません。
また、HTMLやCSSの知識があるならWordPressを使わずに自分でサイトをくみ上げるのも良いでしょう。
サーバー契約後の最初の設定
- ドメインをサーバーに紐づける
- SSL を有効化
- WordPress をワンクリックでインストール
- サイトの基本設定(タイトル/パーマリンクなど)
- 商品ページを置く準備を進める
慣れない作業かと思いますので、ひとつひとつ丁寧に解説したいのですが、今回は全体像を見てもらう記事なので、ここでは手順のみにとどめます。
環境が整ったら、次はいよいよ 「サイトに商品を仮置きする」ステップ に進みます。この段階から、商品をどう見せるかが重要になってきます。
サイトを作って商品を仮置きする
ドメインとサーバーが整ったら、いよいよサイト上に 商品の「形」を見える化する作業 に入ります。ここでは、完成度は 60% 程度でもOK。まずは購入導線をつくる土台を作ることが目的です。
最低限そろえるべきページ構成
商品を販売するための3ページと、法的な問題に対応するための3ページを作りましょう。
商品を販売するための3ページ
- トップページ
あなたの事業内容が一言で伝わる構成にします。
商品を買いたくなるような、もしくはサービスの概要がしっかりと伝わるようにデザインしてください。
(URL例:https://service-name.com/) - 商品(サービス)紹介ページ
商品の価値(写真などあればなおOK)、得られる成果、価格、購入ボタン(後ほど Stripe 決済リンクを設置) 、をシンプルにまとめます。
(URL例:https://service-name.com/product/) - 問い合わせページ
トラブル時の連絡手段として必須です。
後述する特定商取引法に基づく表記からもリンクを貼りましょう。
(URL例:https://service-name.com/contact/ もしくは https://service-name.com/support/ など)
特別なデザインを作り込む必要はありません。最初は「仮置き」で十分で、後から改善できます。
商品ページに入れるべき要素
有形商品は商品の状態や魅力が伝わるように写真を使いながら作り込みましょう。
売れ行きにも影響しますが、トラブルや返品などへの対応も減ります。
無形商品は実態が見えないため、安心材料を入れると購入されやすくなります。
- この商品が解決する課題
- 想定する利用者(ターゲット像)
- 具体的な提供内容(動画数・サポート方法など)
- 決済方法(単発/サブスク)
- 注意事項(返品不可、サポート期間など)
最初は 1 商品だけ見える化する
複数商品を同時に作ると作業が止まりやすいため、
まず 1 商品だけを最優先で公開状態に近づける のが成功パターンです。
次に法的ページに進みます。ネット販売では避けて通れない部分ですが、一度整えてしまえば継続的に使えます。
特商法表記・利用規約・プライバシーポリシーを整える
オンラインで商品を販売する場合、無形商品であっても 法律で必須の記載項目 があります。特にサブスクの場合は、解約条件や決済タイミングの表記が求められるため、ここは丁寧に準備したい部分です。
法的な問題に対応するための3ページ
- 特定商取引法に基づく表記
・販売者名
・所在地
・電話番号
・役務提供時期
・返金ポリシー
などを記載します。
(URL例:https://service-name.com/tokusho/ もしくは https://service-name.com/tokutei/) - 利用規約
無形の場合はオンライン講座・コミュニティの利用ルールを明確化します。
(URL例:https://service-name.com/terms/) - プライバシーポリシー
個人情報の取り扱いについて定めるページです。
(URL例:https://service-name.com/privacy-policy/)
「特定商取引法に基づく表記」の書き方についてはこちらのページにまとめてあります。↓ 書き方テンプレートもあります。
特定商取引法に基づく表記の書き方|個人事業主テンプレと住所表示対策あり
なぜ法的表記が必要なのか
ネットでは商品販売は購入後にトラブルを避けるための透明性が重視されます。
そのため、販売者情報や提供条件を明確に示すことが義務化されています。
販売者の氏名や住所などを公開するため、個人事業主には最初のハードルとなります。
その辺の攻略法についてもあわせて解説します。
氏名は公開はしなくてはダメ?
公開する必要があります。 たまに特定商取引法に基づく表記に屋号や会社名しか書いていない場合もありますが、違法になる可能性があります。
氏名がわかっても住所がわからなければ、実害が発生するケースは稀だと思います。
自宅住所を出したくない場合は?
個人事業主の多くが悩むのが 住所公開問題 です。
特商法では所在地の記載が必須ですが、自宅を公開したくない場合は バーチャルオフィスの利用 が一般的な解決策です。
月額 数百円から数千円で、事業用の住所を取得できます。
これにより「個人情報の公開リスクを減らしつつ法令遵守する」という状態を作れます。
詳しくは自宅住所を公開せずに個人事業を始める方法で解説しているのでよかったら読んでみてください。
法的ページを整えたらサイトに設置する
一般的には、フッターにリンクをまとめて配置します。
フッターリンクとはページの下の方にあるリンクです。
- 特定商取引法に基づく表記
- 利用規約
- プライバシーポリシー
これはユーザーがどのページからでも確認できるようにするためです。
決済サービスを利用して商品を買えるようにする
ここからは、オンライン販売でもっとも重要な 「決済が通る状態をつくる」 ステップです。
決済の仕組みが整っていないと、どれだけ良い商品でも売ることができません。
支払い方法が銀行振込や代引きだけであれば、決済サービスは必要ありません。
メールのやり取りだけでもできます。 ですが、顧客数が多くなったり、クレジットカードなどの支払い方法を利用するには、決済サービスを使うのが良いでしょう。
いくつか決済サービスはありますが、ネットでの商品販売ではStripeがよく使われます。
この記事では流れだけざっくりと確認しますが、Stripeのアカウント作成から、商品登録、支払いリンクとなど詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
個人でも簡単!Stripeで月額サービスを始める方法【ノーコード対応】
(サブスク向けの内容ですが、単発決済でも利用できます。)
なぜ Stripe を選ぶ人が多いのか
- クレジットカード決済に標準対応
- ノーコードでも導入できる
- サブスク(継続課金)に強い
- 領収書発行などの機能が最初から組み込み済み
- 手数料が明確でわかりやすい
Stripe で決済リンクを作る流れ(初心者向け)
- Stripe に無料登録
- 「商品(Product)」を作成
- 料金(Price)を設定
- 「支払いリンク」を発行
- 発行された URL を商品ページの「購入ボタン」に設置
この時点で、まだサイトが完成していなくても、購入ボタンを押すと実際に決済できる状態 になります。
公開前に必ずテストする
Stripe のテストモードを使えば、実際に支払わずに購入フローの確認ができます。
- 決済画面が正しく表示されるか
- 金額が想定どおりか
- サブスクの請求サイクルが合っているか
- 購入後のメール(領収書含む)が自動送信されるか
ここを曖昧にすると、公開後のトラブルにつながるため丁寧に確認しましょう。
領収書ダウンロードを自動化する
単発の決済であれば、決済完了時のメールに領収書のURLが記載されていますが、サブスクの場合はカスタマーポータルの設定が必要になります。
そのため、カスタマーポータルを有効にして、領収書の取得が出来るよう設定してください。
オンライン販売では、領収書対応が頻繁に発生するため、最初から自動化しておくと運用がとても楽になります。
トラブルを避けるための設定ポイント
- 表記する事業者情報(住所・屋号)が最新か
- サブスクの場合は、初回支払いと次回支払いの記載が正しいか
- 返金ポリシーと齟齬がないか
すべて Stripe 側で自動化できるため、ここを整えておくと購入者とのやりとりが一気に楽になります。
ただし、stripeの仕様上、サービス名と事業名が違う場合(特に個人事業主)は少し工夫が必要になる場合があります。
領収書にはサービス名が記載されますが、事業者名が記載されません。
受け取り側はサービス名も事業者名も知りたいことがありますので、こういった場合、Stripe側をサービス名(事業者名)という書き方にすると良いです。
もしくは、フッターにこのサービスは○○○が提供していますといった補足を入れても良いでしょう。
公開前チェックリスト
ここまで来ると、サイト・法的ページ・決済リンクが揃い、「売れる状態」がほぼ完成しています。とはいえ、公開前の最終チェックを怠ると、予期せぬトラブルが起きやすいため、ここで一度しっかり確認しておきましょう。
1. 商品ページの内容が正確か
特に次の項目は誤記があるとトラブルのもとになるため、最終チェックが重要です。
- 価格
- 提供内容
- 返金ポリシー
- 注意事項
- サブスクの場合は請求タイミングと解約条件
サブスクの表記に迷う場合は、Stripe の料金モデルの基本を整理した解説を一度確認しておくと安心です。
2. 法的表記が整っているか
- 特商法表記
- 利用規約
- プライバシーポリシー
これらが フッターから常時アクセスできる状態 であることを確認します。
3. 決済まわりが正常に動くか(テスト)
Stripe のテストモードを使い、次の動作を確認します。
- 支払いリンクが正しく開く
- 決済が成功する
- 決済後メール(領収書)が届く
- サブスクの場合、次回請求日が正しい
実際の購入者が初めて体験する導線なので、細かくチェックしておくほど安心して公開できます。
4. サイト速度・スマホ表示
スマホ比率が高いため、以下を必ず確認します。
- スマホで読みやすいか
- ボタンが押しやすいか
- 表示速度が極端に遅くないか
視認性が悪いと購入率が下がるため、最後に改善しておくと効果的です。
サービス公開後の運用
公開して終わりではなく、ここから本当のスタート です。商品の売れ方などを見ながらサイトをアップデートしていきましょう。
とくに公開後の「顧客との関係構築」「提供価値の維持」が成功の鍵を握ります。
改善ループを作る(導線/価格)
公開後は、次の2点を定期的に見直すのがおすすめです。
- 導線の改善
購入ページにアクセスしているのに購入されていない場合、説明が不足しているケースが多いです。 - 価格の見直し
値決めは難しい作業です。 商品の価格は適切か試行錯誤してみてください。 セールも定期的に行うと良いでしょう。
実店舗であれば、人や物が見えるのでイメージしやすいことでも、ネットでの販売では数字でしか吸い上げられません。
専門的な話しになりますが、サーチコンソールやアナリティクスを活用しながら、顧客の動線を把握して改善を繰り返しましょう。
マーケティングについても勉強してみるといいと思います。
まとめ:あなたが今どの段階にいるかを整理し、次の一歩を明確にする
商品をオンラインで販売するための流れは、一見すると複雑に見えますが、実際には次の 7 ステップに分解できます。
- 商品を考える
- ドメイン取得
- サーバー契約
- サイト制作と商品仮置き
- 法的ページ(特商法・規約・プラポリ)
- 決済導入(Stripe)
- 領収書と運用体制の整備
これらを上から順に進めるだけで、自然と「売れる状態」が整っていきます。
「決済サービス」のところで腰が引けてしまうかと思いますが、頑張って一つ山を越えて頂きたいと思います。
あなたが今どの段階にいるかを明確にし、ひとつずつ積み上げていけば、必ず形になるサービスが完成します。次の一歩に進んでみてください。

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