はじめに:BASEやココナラの手数料が「高い」と感じる理由
BASEやココナラは、初期費用ゼロで手軽に販売を始められる便利なプラットフォームです。ただ、その一方で「気づけば手数料が結構かかっている」という声もよく聞きます。とくに物販やデジタルコンテンツを継続的に販売している個人事業主の方ほど、この負担を実感しやすい傾向があります。
プラットフォームの仕組みとして、決済手数料・サービス利用料・オプション機能の追加費用など、複数のコストが積み重なる構造になっています。売上が増えるほど手数料も比例して増えるため、利益率が圧迫されやすい点は理解しておきたいところです。
また、住所公開の不安から自社サイト販売に踏み切れない人も多いですが、その点は別記事の「住所公開が不安な方向けの対策ガイド」でも触れているとおり、安全な代替手段を紹介した記事 にまとめています。自社サイト販売を検討する際の不安要素を先にクリアしておくと、次のステップが見えやすくなります。
ここでは、プラットフォーム手数料の内訳や、なぜ「高い」と感じるのかを整理しつつ、後半では自社サイト販売のメリットにつなげて解説していきます。
プラットフォーム手数料の基本構造
BASEやココナラの手数料は、主に以下の3種類で構成されています。
- 決済手数料:クレジットカード等の決済処理にかかる費用
- 販売手数料:プラットフォーム利用の対価
- 追加機能の利用料:拡張アプリやオプション
それぞれの割合はサービスごとに異なるものの、「売れるほど手数料も増える」変動型コストである点は共通しています。
手数料が積み上がる典型パターン(物販/デジタル販売)
手数料が重く感じやすいのは、以下のようなケースです。
- 1商品あたりの利益率がもともと低い
- 売上点数が増えてきた
- 有料オプションを複数使用している
- 顧客単価が高く、決済手数料が絶対額として大きくなる
とくにコンテンツ販売では、自社サイトならほぼ固定費だけで運用できるため、プラットフォームとの差が顕著に出る傾向があります。この後の章では、その差がどれほど大きいのかを具体的に見ていきます。
自分のサイトで販売するメリット
プラットフォーム手数料が気になる人にとって、最も効果が大きい対策が「自分のサイトで販売する」方法です。ここでは、手数料面の明確なメリットから、実務的な利点まで順番に整理します。
手数料が大幅に下がる仕組み
自社サイトで販売する場合、主にかかる手数料は 決済サービスの手数料(例:Stripe、PayPal)だけ です。
Stripe の場合、一般的には 3%前後+数十円 程度で、BASEやココナラの「決済+販売手数料」と比べても低めに設定されています。
利益率で見れば、
- プラットフォーム販売:売上に応じて複数の手数料が発生
- 自社サイト販売:決済手数料のみでシンプル
という違いが生まれます。
価格設定と利益率が安定する
自社サイト販売の大きな強みは、利益率が読みやすくなる 点です。
手数料体系がシンプルになることで「この価格ならどれだけ利益が残るか」を計算しやすくなり、無理のない価格戦略を立てられます。
また、リピート購入や複数商品を同時購入してもらう導線を作ることで、顧客単価の最適化も行いやすくなります。
データ所有権と顧客リストが手に入る
BASEやココナラでは、顧客データにアクセスできる範囲が限定されるケースがあります。一方で自社サイト販売では、問い合わせ情報・購入履歴・メールアドレスなどを自分で管理できるため、長期的な事業運営に欠かせない資産が蓄積されます。
顧客リストがあることで、
- アップセル
- 再販売
- メールマーケティング
- 会員向けコンテンツ販売
といった取り組みも自由度が高くなります。
自社サイト運営に際して住所公開が必要になる点については、対策方法を特商法の住所表記に関する解説記事で詳しくまとめています。必要以上に怖がらず、要点を押さえて準備すれば大きな問題にはなりません。
自社サイト販売に必要な要素
自社サイトで販売する仕組みを整えるには、「サイトを作ること」だけでなく、決済・セキュリティ・表示義務といった複数の要素が関わります。すべてを一度に完璧にする必要はありませんが、最低限押さえるべきポイントを順番に整理しておきましょう。
CMS(WordPress など)の選択肢
小規模事業者が自社サイト販売を始める場合、最も扱いやすいのは WordPress です。理由は以下のとおりです。
- テンプレートが豊富でデザインを短時間で整えられる
- 販売ページ用のプラグインが揃っている
- カスタマイズ性が高く、将来の拡張性も確保できる
もちろん、STUDIOやShopifyなどのノーコードサービスも選択肢ですが、ランニングコストの低さや柔軟性を考えるとWordPressは依然として有力です。
決済手段(Stripe・PayPal)の導入ポイント
自社サイト販売では、プラットフォームとは違い、決済機能を自分で用意する必要があります。代表的な選択肢が Stripe と PayPal です。
Stripe は特に相性が良く、
- 決済画面がシンプルで離脱率が低い
- 手数料がわかりやすい
- WordPressプラグインが豊富
という特徴があります。少額取引やデジタル商品とも相性がよく、個人事業主でも導入しやすい決済方法です。
セキュリティとSSLの基本
販売サイトでは、必ず SSL(HTTPS化) を有効にしておく必要があります。
SSLとは、ユーザーとサイトの通信を暗号化する仕組みのことで、決済情報や個人情報を安全にやり取りするための最低限の対策です。
SSLは多くのレンタルサーバーで無料化が進んでおり、ボタン一つで有効化できるケースが増えています。
加えて、テーマやプラグインを最新状態に保つことも、セキュリティ確保に大きく貢献します。
BASE/ココナラから「自社サイト販売」に移行するステップ
プラットフォームからいきなり自社サイトへ完全移行する必要はありません。むしろ個人事業主の場合は、段階的に移行する方がリスクが小さく、売上を安定させやすいです。ここでは、実際に始める際のステップを紹介します。
商品ページを再設計する
BASEやココナラでは、テンプレートの制約があるため、商品ページは似た構成になりがちです。
自社サイトに移行する際には、以下の観点で 一度ページを作り直すと成果が出やすくなります。
- 誰に向けた商品かを明確に書く
- 商品の強みを箇条書きで示す
- 購入後の具体的なイメージを提示する
- よくある質問(FAQ)を用意する
これらを整えるだけで、購入率が安定します。
支払い・配送オペレーションを整える
物販であれば、注文後の 発送オペレーション を見直す必要があります。
プラットフォームでは自動化されていたメール通知やステータス管理も、自社サイトでは自分で設定する必要があります。
Stripe の場合、注文後のメール送信や在庫管理などは外部プラグインで対応できますが、最初はシンプルなフローに絞る のがおすすめです。
- デジタル商品:自動メール送付
- 物販:注文確認メール → 発送通知メール
この2つさえ整えば、小規模事業の運用としては十分成立します。
小さくテストしながら移行する方法
完全移行前に、まずは 1商品だけ自社サイトで販売してみる という小さなテストがおすすめです。
- Stripe決済が問題なく動くか
- 顧客が迷わず購入できるか
- アフターフォローに漏れがないか
これらをチェックしながら改善していくと、段階的に品質が上がり、スムーズに移行できます。
また、既存のBASEやココナラはすぐに閉じる必要はなく、自社サイトと併用するハイブリッド運用も効果的です。「比較して選んでもらえる」導線をつくることで、自然と自社サイトの販売比率が増えてきます。
注意点:自社サイト販売で発生する「新しい責任」
自社サイト販売は自由度が高い一方で、プラットフォーム利用時には意識しなくてもよかった 「運営者としての責任」 が増える点に注意が必要です。ここを理解しておくと、後々のトラブルを避け、安心して販売できる体制を整えられます。
特商法表記・住所公開の義務
自社サイトで販売する場合、必ず 特定商取引法(特商法)に基づく表記 を掲載する必要があります。とくに「住所」「電話番号」など、身元情報を公開しなければならない点は、個人事業主にとって大きな心理的ハードルになりがちです。
特商法の目的は、購入者を保護し、事業者の所在を明確にすることです。したがって、サイト運営者の情報が曖昧なままだと、消費者トラブルが起きた際に信頼を損ねたり、行政指導の対象になる可能性があります。
とはいえ、法的に求められる範囲を正しく理解し、必要な項目を整えておけば過度に恐れる必要はありません。「最低限何が必要なのか」を把握できれば、準備は難しくありません。
トラブル対応・返金対応の判断
プラットフォーム利用時は、返金処理や購入者とのやり取りが半自動的に進むことが多いですが、自社サイトでは 事業者としての判断と対応力 が求められます。
- 返金の可否をどう判断するか
- 商品不備があった場合の対応フロー
- クレーム対応の基準
これらを事前に決めておくことで、いざという時に感情的な判断を避けられます。
セキュリティ管理の最低ライン
自社サイトは、プラットフォームよりも セキュリティ対策を自分で行う必要がある 点も重要です。
最低限のポイントは以下のとおりです。
- WordPressやプラグインを常に最新状態に保つ
- 強力な管理者パスワードを設定する
- 定期的にバックアップを取る
- SSLを必ず有効化する
どれも難しい作業ではありませんが、小さな放置が大きなリスクにつながるため、習慣として運用していく意識が大切です。
住所公開が不安な人への代替策
個人で自社サイト販売を始める際、「住所を公開したくない」という理由で踏み出せない方は多くいます。この章では、必要な法的要件を理解しつつ、住所を守りながら事業を運営するための選択肢を整理します。
自宅住所を出したくない場合の選択肢
特商法で住所公開は原則必須ですが、だからといって必ずしも「自宅住所」を掲示する必要はありません。個人事業主でも利用できる住所手段として、以下のような選択肢があります。
- 商用利用が可能なバーチャルオフィス
- シェアオフィスやコワーキングスペース
- 私書箱ではなく「登記・特商法対応可」のオフィス住所
いずれも、プライバシーを維持しながら法令遵守できるのがメリットです。
バーチャルオフィスを利用するメリット
住所公開に不安がある方がもっとも使いやすいのが、バーチャルオフィスです。低価格で住所を借りられ、郵便物の受け取りや転送に対応するサービスも多く、個人事業主との相性が非常に良い仕組みです。
とくにネットショップやコンテンツ販売では、実店舗を持たずに事業を完結できるため、住所だけを安全に確保できるバーチャルオフィスは実務上強力な選択肢になります。
GMOオフィスサポートを選ぶ理由
バーチャルオフィスの中でも、コストと使いやすさのバランスが良いのが GMOオフィスサポート です。
- 月額数百円から利用可能
- 個人事業主でも契約しやすい
- 特商法表記・開業届・名刺住所などにも利用できる
- 郵便転送が柔軟で、ネットビジネスと相性が良い
とくに、初めてバーチャルオフィスを使う方にとっては、料金体系が明確で手続きがシンプルな点が安心材料になります。
住所公開が心配で自社サイト販売に踏み切れなかった方は、「自宅住所を出さなくて良い」というだけで、一気に選択の幅が広がるはずです。
私は実際にGMOオフィスサポートを使っているのですが、バーチャルオフィス比較をまとめたこちらの記事も読んでみてください。
実例:Stripe決済+WordPressで販売する構築イメージ
自社サイト販売をイメージしやすいように、「WordPress × Stripe」で最小限の販売導線を作るケースを例に説明します。大規模なEC機能を作る必要はなく、個人事業主であればこの最小構成で十分に売上が立ちます。
商品ページテンプレートの考え方
WordPressでは、ブロックエディタやテーマを使って柔軟に商品ページを作れます。
購入率を高めるため、次の要素を入れておくと安定します。
- 商品タイトル:誰向けの何かを明確に
- 商品画像:1〜3枚で十分
- 特徴(メリット):箇条書きで簡潔に
- 購入後のイメージ:どんな価値が得られるか
- 購入ボタン(Stripeリンク)
- FAQ/注意事項
Stripeは「支払いリンク」を発行するだけで商品を販売できるため、コードを書かずに導入できます。リンクをWordPressのボタンに設定するだけで決済ページにつながります。
PHPでStripeリンクを生成する例(参考コード)
require 'vendor/autoload.php';
\Stripe\Stripe::setApiKey('sk_test_xxx');
$link = \Stripe\PaymentLink::create([
'line_items' => [[
'price' => 'price_xxx',
'quantity' => 1,
]],
]);
echo $link->url;
Stripeの決済フローと手数料の目安
Stripeの決済フローは非常にシンプルで、ユーザーが迷いにくい点が強みです。
- 購入ボタンをクリック
- Stripeの決済ページに遷移
- カード情報を入力
- 決済完了後にサンクスページへ戻る
手数料は「決済手数料のみ」なので、BASE・ココナラのように複数の手数料が重ならず、利益率が大きく改善しやすい仕組みです。
とくに高単価商品では手数料差が明確に出て、固定費を簡単に回収できるケースもよくあります。
小規模でも運用できる理由
WordPress × Stripe が個人事業主に向いている理由は次のとおりです。
- デジタル商品との相性が良く、在庫管理も不要
- 月額のランニングコストがほぼゼロ
- 商品数が少なくても成立する
- 必要な機能だけ追加できる拡張性
さらに住所公開の不安がある場合は、バーチャルオフィスを利用することで安全に運用できます。
特に、実体験レビューをまとめたこちらの記事でも触れているように、GMOオフィスサポートは個人でも利用しやすい価格帯と機能性が特徴です。
結論:プラットフォームと自社サイト販売をどう使い分けるか
BASEやココナラは、販売の「最初のステージ」としてとても優秀ですが、売上が伸びるほど手数料の重さが気になっていきます。そんな時、自社サイト販売を組み合わせることで、利益率と自由度が大きく改善されます。
両方を併用するハイブリッド戦略
最も現実的でリスクの少ない選択肢が 併用(ハイブリッド)運用 です。
- プラットフォーム:集客・検索表示の強み
- 自社サイト:利益率改善・顧客データの蓄積
この2つを同時に持つことで、「売上の柱」が増えて安定しやすくなります。
また、万が一の規約変更やアカウント停止リスクも分散できます。
個人事業主が次に踏む一歩
自社サイト販売は難しそうに見えますが、実際には次の4ステップで十分にスタートできます。
- WordPressを用意する
- Stripeの支払いリンクを作る
- 商品ページを1つだけ公開する
- 小さく改善しながら導線を増やす
重要なのは、最初から完璧を目指さないこと。
まずは「1つの買えるページ」を作り、販売を開始するのが最大の一歩になります。

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